問
5年前から簡易課税の適用を受けていた事業者が、H30.9.1に高額特定資産(※)を取得しました。 当課税期間の基準期間(H28.1.1-H28.12.31)における課税売上高は6,000万円で、5,000万円を超えているため簡易課税が適用されずに原則課税となりました。 翌課税期間(H31.1.1-H31.12.31)と翌々課税期間(H32.1.1-H32.12.31)の基準期間((H29.1.1-H29.12.31)と(H30.1.1-H30.12.31))における課税売上高は500万円ですが、高額特定資産を取得したので翌課税期間と翌々課税期間は免税事業者とならずに課税事業者として、原則課税で申告するということでよろしいでしょうか。
答
翌課税期間と翌課税期間は、免税事業者とはならずに消費税の申告義務は有りますが、原則課税ではなく簡易課税で申告することになります。
※高額特定資産とは、一の取引単位につき、支払対価の額(税抜き価額)が1,000万円以上の棚卸資産または固定資産を言います。
1.高額特定資産を取得した場合の納税義務
- 高額特定資産を取得した場合の免税事業者の不適用
事業者が消費税の原則課税である課税期間中に、高額特定資産を取得した場合には、当該高額特定資産を取得した課税期間の初日から3年を経過する日の属する各課税期間においては、消費税の納税義務は免除されません。
- 高額特定資産を取得した場合の簡易課税制度選択届出書の提出不可
事業者が消費税の原則課税である課税期間中に、高額特定資産を取得した場合には、当該高額特定資産を取得した課税期間の初日から同日以後3年を経過する日の属する課税期間の初日の前日までの各課税期間においては、消費税の簡易課税制度の選択届出書の提出は出来ません。
2.高額特定資産を取得する前の課税期間から簡易課税の適用を受けていた場合
- 通常は基準期間における課税売上高が5,000万円以下になると簡易課税の適用となりますが、高額特定資産を取得した場合には、高額特定資産を取得した日から3年間は、簡易課税制度選択届出書を提出することが出来ないとなっています
- しかし高額特定資産を取得する前の課税期間から簡易課税の適用を受けていて、高額特定資産を取得した課税期間の基準期間における課税売上高が5,000万円を超えていることにより、高額特定資産を取得した課税期間が原則課税になった場合には、取り扱いが異なります。
- この場合には、消費税の原則課税である課税期間中に高額特定資産を取得したのですから、高額特定資産を取得した日から3年間は、消費税の納税義務は免税事業者には戻れませんが、簡易課税制度の適用については、高額特定資産を取得する前から簡易課税制度の適用を受けており、新たに簡易課税制度選択届出書を提出するわけではありませんので、高額特定資産を取得した課税期間の翌課税期間及び翌々課税期間については、基準期間における課税売上高が5,000万円以下であれば、簡易課税制度の適用を受けることになります。
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