1.父の相続人が配偶者母と子の場合
被相続人が父、相続人は配偶者である母と子2人の3人とします。一次相続の父の遺産分割中に母が亡くなった場合、遺産分割が終了していない父の相続と新たに発生した母の相続(二次相続)において、一次相続、二次相続の相続人は子2人となります。
この場合においては、最初にまず、未分割状態であった父の遺産分割を子2人が母の立場として遺産分割を行い、次に、母の相続の遺産分割を行うという流れになります
2.様々な手続方法
被相続人が亡くなって、相続人間の遺産分割協議や不動産の相続登記、金融機関等の口座名義変更等が済まないうちに、その相続人が亡くなり次の相続が発生することを数次相続といいます。(1) 遺産分割協議書はそれぞれの相続ごとに作成する。
- 一次相続の遺産分割協議書
遺産分割協議書は相続人全員の署名・捺印が必要となりますが、この場合において相続人である母は既に他界しているので、署名・捺印ができない状態ですので、「相続人兼被相続人」と記載し名前を入れます。
また、署名・捺印を行う欄には、既に他界している母の子が「相続人兼被相続人の相続人」と記載し署名捺印を行います。
- 二次相続の遺産分割協議書
二次相続の遺産分割協議書は、そのまま通常の遺産分割協議書を作成します。
(2)数次相続の場合の留意点
数次相続において、相続税の税額軽減を図るには、一次相続及び二次相続の遺産分割について綿密な試算をする必要があり、「配偶者の税額の軽減」及び「小規模宅地等の特例」、「相次相続控除」を考慮して、一般的には母に法定相続割合などで一旦遺産分割することも念頭において、申告書を作成することになります。3.数次相続の場合の相続税について
(1) 一次相続人が納めるべき相続税
一次相続人Aが相続税を納める前に亡くなった場合には、二次相続人Bがその相続税をAの代わりに納めなければなりません。ですので、二次相続人Bは、一次相続の相続税と二次相続の相続税の両方を納めることになります。(2)申告期限
二次相続の被相続人の一次相続分の相続税の申告期限は延長されます。相続税の申告期限は、被相続人が亡くなってから10か月ですが、一次相続人が亡くなってから10か月に延長されます。
ただし、生存している一次相続人の申告期限は、延長されません。
(具体例)父・母・長男・次男の4人家族
- 父が平成30年4月1日に死亡(以下「第一次相続」といいます)。
相続人は、母・長男・次男で相続税の申告期限は10ヶ月後の応当日である平成31年2月1日です。
- 母が平成30年5月15日に死亡(相続税の申告期限前・かつ父の遺産分割前)。
相続人は、長男・次男で相続税の申告期限は10ヶ月後の応当日である平成31年3月15日です。
- 上記【2】の場合、母の相続税申告書は、長男・次男が、母に関する第一次相続・第二次相続申告書を提出します。
第一次相続に関しては、母についてのみ申告期限が延長され、第二次相続と同じ申告期限である平成30年5月15日から10ヶ月後の平成31年3月15日となります。
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