2016年から、高額資産を購入した場合には取得・建設後2期間は免税事業者となることができず、簡易課税制度を選択することもできないことになりました。 これにより、建物の建築をした時点で、課税売上割合が100%であったとしても、その後課税売上割合が低下した場合には、調整計算が働くことによって、一度、還付された金額の一部を返還しないといけなくなりました。 そのため、消費税還付が今後難しくなってきますが、下記のような場合には、消費税還付が可能と考えれらます。

1. 建築する建物が、店舗や事務所等の賃料収入が課税売上である場合

建築する建物が、店舗や事務所などの賃料収入が課税売上である場合には、還付時に個別対応方式を選択することによって、全額還付を受けることが可能です。個別対応方式は、もともと、課税売上割合によって還付額が変動しないので、その後の調整計算がされたとしても、還付金額は変わらず、返還の必要はないからです。また、もともと一括比例配分方式で申告していた場合には、2年間の強制適用期間があるため、その期間中である場合には、個別対応方式は採用できないことにも注意が必要です。

2. 今後も消費税還付が可能である場合

著しく下回った場合とは、下記のいずれにも該当する場合:

  • ①:(還付時の課税売上割合―通算課税売上割合)/還付時の課税売上割合≧50%
  • ②:還付時の課税売上割合―通算課税売上割合≧5%

つまり、上記のどちらかに当てはまらなければ、返還の必要はないということになります。仮に還付時の課税売上割合が、100%であったとして、通算課税売上割合が50%超あれば、差が50%未満となり、1に該当しないことになります。

したがって、この場合には、通算課税売上割合が50%を超えるように、課税売上を計上していけばいいということになります。

<具体的な方法>

  • ①:駐車場を増設して、駐車場の賃料を計上すること、店舗、事務所を建築・購入して、賃料収入を計上すること、所有している建物を売却することにより、課税売上を計上する。
  • ②:不動産業以外の物品販売などの事業など課税売上となる事業を行っていて、この事業の課税売上がある場合です。
  • ③:法人であれば、金の売買を繰り返して課税売上を高める。……この方法には問題点を指摘する意見もあります。

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