1. 市民農園として貸し付けられている土地

①特定農地貸付法の規定により市民農園の用に供されている農地は耕作権の目的となっている農地には該当しませんので、その評価にあたっては、農地法の規定に基づいて貸し付けられている農地のように自用地価額から耕作権の価額を控除して評価することはできませんが、財産評価基本通達87(賃借権の評価)(2)の定めに準じて、賃借権の残存期間に応じ、その賃借権が地上権であるとした場合に適用される法定地上権割合の2分の1に相当する割合を乗じて計算した価額を自用地価額から控除することができます。

②また、次の要件のすべてを満たす市民農園の用に供されている農地については、20%の減額をすることができます。

(Ⅰ). 地方自治体の定める条例に基づいて設置された市民農園であること

(Ⅱ). 土地の賃貸借契約に以下の事項が定められていること

  • (ⅰ).貸付期間が20年以上であること
  • (ⅱ).正当な理由がない限り貸付けを更新すること
  • (ⅲ).農地所有者は貸付けの期中に正当な事由がない限り土地の返還を求めることはできないこと
  • (ⅳ).相続税・贈与税の課税時期後に引続き市民農園として貸付けられること
  • (ⅴ).相続税又は贈与税の申告書に一定の書面を添付すること

※ 特定農地貸付けに関する農地法等の特例に関する法律とは、地方公共団体や農業協同組合等が市民農園として貸付けることを目的として、農地に地上権その他使用収益をする権利を設定する場合の農地法等の特例を定めるものです。

2. 特定市民農園の用地として貸付けられている土地

特定市民農園(借地方式による市民農園のことで、農林水産大臣若しくは国土交通大臣または都道府県知事から認定を受けたものをいいます。)の用地として認定を受け、地方公共団体に貸し付けられている土地の評価は、下記の評価になります。特定市民農園用地として貸し付けられていないものとした評価額×70%

※【特定市民農園の主な認定基準】

  • ① 地方自治法に規定する条例で設置される市民農園であること
  • ② 市民農園の区域内の建築物の面積の合計が敷地面積の12%以下であること
  • ③ 市民農地の開設面積が500㎡以上であること
  • ④ 土地の所有者と地方公共団体との土地賃借契約に下記の事項の定めがあること
    • (ⅰ).貸付期間が20年以上であること
    • (ⅱ).正当な事由がない限り貸付けを更新すること

3. 生産緑地の評価減との併用適用

生産緑地の指定を受けている農地については、生産緑地の評価減(解除までの期間に応じ5~35%減)と上記の相続税評価額の減額と併用の評価減を受けられます。

4. 納税猶予との関係

条例による市民農園・特定市民農園については、農地を市区町村に貸し付けているので、自ら耕作しているとはみなされません。仮に納税猶予の適用期間中に農地を特定市民農園などの用に供してしまったときは、納税猶予が打ち切りとなるので、注意が必要です。

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