1.相続税と贈与税の一体化は毎年検討されている
多くの皆さんがご存じの通り、早めの生前贈与は将来の相続税の節税に繋がります。暦年贈与の基礎控除110万円を毎年使うことで、相続税と贈与税の税率差がそのまま相続税の節税になるという仕組みです。しかし、2020年12月に公表された令和3年度税制改正大綱内の「資産移転の時期の選択に中立的な相続税、贈与税に向けた検討(18頁)」にて、下記文章が記載されています。
具体的な取扱いはまだ決まっていませんが、諸外国の税制を見ると「一生累積課税」や「一定期間累積課税」といった考え方が多く採用されており、生前に贈与をしても相続税の節税にならない改正となる可能性があります。
2.現金贈与の場合は、保険やNISAを活用して積極的な運用が良い
上記の通り相続税と贈与税の体系が変わる可能性はありますが、少なくとも現時点では生前贈与は有効な対策です。法律は「過去に遡って適用しない」が原則ですから今のうちに贈与を実行されることをお勧めします。
現金・株式・不動産が贈与財産の代表的なものだと思いますが、現金贈与の場合は受贈者の銀行口座に預けたままだと低金利の利息が上乗せされるだけで残高は増えません。
そこで、贈与された現金を保険やNISAに変えて積極的に運用する方が良いと言えます。
① 保険でお勧めなのは「一時所得型の保険」です。
という保険契約をする事で、親の相続開始時に保険金を受け取り相続税の支払いに充当することが出来ます。保険を受け取った際は「一時所得」として所得税を支払いますが、{(保険受取金-支払掛金-50万円)×1/2}×税率という算式で所得税が計算されますので、相続財産が多い人にとっては比較的少ない税金負担で済むというメリットがあります。
② また、NISA制度を使って運用するのも良いでしょう。NISAは一定額の投資額まで株式の配当金や売却益を非課税で取り扱う事が出来る制度です。安定した上場株式に投資をすれば、毎年配当金を受け取る事が出来ますので銀行の預金利息よりも手元資金を増やせる可能性があります。
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