これによって親権者の同意を得ることなく、ローンを組む、携帯電話を購入する、一人暮らしのためのアパートを借りるなどの法律行為ができるようになります。
一方で、飲酒、ギャンブル、養子をとることができる年齢等、民法改正後も20歳以上のままといった項目もあります。
さて、相続税や贈与税への影響はどういったものがあるでしょうか。
相続税
・未成年者控除相続人が未成年者である場合には、「未成年者控除」という相続税から一定額が減額される制度があり、その控除額は未成年者が成人するまでの年数に10万円を乗じた金額です。
例えば、相続時点の年齢が15歳(1年未満切り捨て)の場合、5年(20-15)×10万円=50万円が控除されます。
これが改正によって成年年齢が18歳に引下げられますので、3年(18-15)×10万円=30万円の控除となります。
つまり、令和4年4月1日以後開始の相続では、未成年者控除額が20万円少なくなることになります。
・遺産分割協議
相続人が未成年者である場合には、法律行為が制限されるため遺産分割協議に参加することができず、代わりに法定代理人である親権者が遺産分割協議に参加することになります。
しかし、未成年者の親権者も相続人である場合、未成年者とその親権者の利害が対立してしまうため、この親権者は代理人として遺産分割協議をすることはできません。
このような場合には、家庭裁判所に特別代理人の選任請求をし、選任された特別代理人が未成年者の代理人として、遺産分割協議に参加することになります。
ケースによりますが、特別代理人の申立てが必要になることで1ヵ月くらい時間的に余裕を見ておく必要があり、10ヵ月という期限のある相続税申告においては注意が必要となります。
令和4年4月1日以後であれば、18歳以上の相続人は遺産分割協議に参加することができるようになり、代理人が不要となります。なお、相続開始日時点で未成年であっても、遺産分割協議時点で18歳以上であれば、代理人は不要です。
贈与税
・暦年贈与贈与税の税率には、「一般贈与財産用の税率」と、税率が低く設定されている「特例贈与財産用の税率」があります。 「特例贈与財産用の税率」は、贈与年の1月1日現在で20歳以上の受贈者が、親や祖父母(直系尊属から贈与を受けた際に適用される税率で、その他の贈与は「一般贈与財産用の税率」が適用されます。 この特例の税率も、令和4年4月1日以後は18歳以上に変更されます。 ただし令和4年1月1日現在で18歳でも、令和4年3月31日までにもらった贈与財産は一般の税率が適用されますので注意が必要です。
・相続時精算課税贈与
相続時精算課税は、60歳以上の父母または祖父母が、20歳以上の子や孫(直系卑属)に財産を贈与した場合に選択できる贈与税の制度です。
相続時精算課税の適用を受けることができる者は、贈与者の推定相続人で贈与の年の1月1日において20歳以上の者とされています。
令和4年4月1日以後は18歳以上に変更され、2年早く適用が受けられるようになります。ただし令和4年4月1日現在で18歳でも、令和4年3月31日までにもらった贈与財産は相続時精算課税の適用対象外となります。
本ページに掲載した画像は情報サイト相続.co.jp様より転載許可を得て掲載しています。