1.現行制度(令和3年)の概要


(1)全体像

令和3年度(現行)の住宅ローン控除の概要

(2)主な留意点

① 令和2年4月には新型コロナウィルスの感染拡大に伴い「新型コロナウィルス感染症緊急経済対策における税制上の措置」が施行され、消費税10%の増税に伴う特例措置として、消費税10%が適用となる住宅を取得し、令和3年12月までに入居を開始した場合は、住宅ローン控除の適用期間が13年となります。

② 13年控除の適用期限の延長
一定の契約期間と入居期間を満たす場合に、住宅ローン控除の適用期間が13年となります。13年控除を受けるためには、注文住宅の場合は令和2年10月から令和3年9月末まで、分譲住宅の場合には令和2年12月から令和3年11月末までに契約を結び、令和3年1月から令和4年12月末までに入居することが要件となります。

③ 床面積要件の緩和
従来の住宅ローン控除制度が適用されるのは、床面積が50㎡以上の住宅を取得した場合に限られていましたが、令和3年度税制改正においてはこの床面積要件の見直しが行われ、(1)の図の契約期間・入居期間を満たす場合に限って、適用できる床面積が40㎡以上に緩和されました。
この床面積要件の緩和によってこれまでは住宅ローン控除制度を利用することができなかった50㎡以下の単身者向け、2人暮らし向けのマンションや狭い土地を利用した狭小住宅でも住宅ローン控除制度の適用を受けることができるようになります。ただし、床面積40㎡以上50㎡未満の住宅については、所得制限が厳しくなっています。
住宅ローン控除制度を利用できる通常の所得制限は3,000万円以下ですが、40㎡以上50㎡未満の物件の場合には、合計所得金額が1,000万円以下の者と定められているため注意が必要です。

2.令和4年度税制改正大綱の概要


(1)全体像

長年続く低金利によって、変動型の住宅ローン金利では1%に満たない超低金利となっているために、金利の支払額より控除額の方が多いという逆ザヤ現象が起こっていましたので、問題とされていたこの点が、令和4年度の税制改正によって、次のように変更されることが決まりました。

(2)改正のポイント

① 適用期限の延長
令和3年12月31日が適用期限とされていましたが、4年間延長されて令和7年12月31日入居分まで適用できるようになります。
② 控除率の引き下げ
所得控除額の控除率が1.0%から0.7%に引き下げられます。
③ 控除期間の延長
原則10年間(特例では13年間)となっている新築住宅を対象とした控除期間が、原則13年間に延長(中古は10年間に据え置きです)となります。
④ 所得制限の引き下げ
適用対象者の住宅ローン控除を受ける年の合計所得金額が、3,000万円以下であれば適用することができましたが、令和4年分からは合計所得金額が2,000万円以下に引き下げられます。
⑤ 省エネへの不適合
令和6年以降に建築確認を受ける新築住宅のうち、省エネ基準に適合しない住宅は住宅ローン控除の対象外となります。

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