令和4年税制改正大綱より
①富裕層による節税対策として連年贈与が増加
注:贈与税の課税価格は、(取得財産価額-基礎控除額110万円)で計算しています。
上記のように、相当に高額な相続財産を有する層にとっては、財産の分割贈与を通じて相続税の累進課税負担を回避しながら多額の財産を移転することが可能となっています(連年贈与も可能です)。
② 資産移転の時期の選択に中立的な税制に転換へ
米国は贈与税と遺産税は統合されており、一生涯の累積贈与額と相続財産額を一体的に課税する遺産税方式が採用されています。しかし、基礎控除は12.6億円もあるので課税割合は日本の8.5%に対して、わずか0.2%です。 また、ドイツやフランスも贈与税と相続税は統合されており、一定期間(ドイツ10年、フランス15年)の累積贈与額と相続財産額に対して一体的に課税する遺 産取得課税方式が採用されています。 日本の「相続時精算課税」の場合、相続時精算課税(平成15年度税制で導入)の申告件数は暦年課税の37.4万件に対して4.3万件、と相続時精算課税は国民に定着してない。③政府税調では、暦年課税の廃止を求める意見
2020年11月13日に開催された政府税制調査会の総会では、暦年課税を廃止し、相続時精算課税に一本化すべきなどの意見が相次いだ。しかし、日本税理士会の税制審議会では、「国際的にみれば、相続税を廃止・縮小する国や地域が増加する中で、わが国だけが課税の強化を図ったことがどのように評価されているかを検証することは、今後の税制を考える上で重要である。」としている。