1.生産緑地法の改正

2022年に、生産緑地の指定から30年を迎えます。
生産緑地の多くはH34年に期間満了となります。農家の方は、再び選択が必要になります。 生産緑地の条件としては、生産緑地の指定を受けるために必要だった面積を、一律500㎡から市区町村が条例で300㎡まで引き下げることが出来る。また、30年経過後は10年ごとに延長する方向になります。
従って、これまでより、小規模な農地が対象となる為、市街化区域内の農地、特に三大都市圏特定市の農地の多くが生産緑地の対象となる可能性があり、相続税等の優遇措置を受けられることになります。

2.生産緑地の指定を受けるかどうかの判断

2022年に、生産緑地について継続するかどうかの判断が必要になります。


上記の判断により、納税猶予との関係は以下の様になります。

3.2022年に向けての課題

  1. 相続に向けて方向性をきめる
    納税猶予を受けるためには、生産緑地でなければ受けられないため、終身営農の道を選択し、生産緑地の指定を受けておく必要があります。
  2. 解除した場合の問題点
    生産緑地を解除した場合には、相続税の納税猶予の適用が受けられないため、相続税の負担が大きくなります。また、固定資産税が多額になります。 そのため、税金を捻出するために土地を有効活用する必要があります。
  3. 売却の検討
    有効活用が出来ない場合には、売却という方法もあります。
    この場合、生産緑地の買取り申出が集中し、広大な宅地の大量出現という事態が生じる可能性があるため、思った価額での売買ができない可能性もあるため、売却時期についても検討が必要になります。

4.選択の際の問題点

各々個別事情とは別に、農林水産省と国土交通省は、都市部の農地である生産緑地を維持するために、対策を講じています。
大都市近郊の緑地保全もありますし、営農をあきらめる人が増えれば、一気に宅地化が進み、宅地価格が急落する可能性があるからです。

  1. 農地を維持するための制度の柔軟化
    ア. 生産緑地の賃貸を柔軟にし、企業やNPO法人が借りやすくする。市民農園などの形で活用を促すなどを考えています。
    具体的には、自ら耕作しなくても、企業やNPO法人に貸しだせば、相続税の納税猶予の対象にする。
    イ.農地の貸し借りに不安を抱く地主への対策として、農地法では地主が貸借期間満了前に更新しない旨を通知しなければ自動的に貸し借りが続くが、生産緑地の貸借に限り、この法解釈の適用外とする。
    ウ.借り手を増やす対策として、農地を借りる場合には農業委員会の承認を必要とするが、生産緑地については、市区町村の承認を得られれば土地を借りられるようにするなどです。
  2. 売却防止のための課税強化
    農林水産省は、納付額を得ることが目的ではないとしていますが、農地の転用を防ぐために、農地の売却益の一部を国に納めさせる仕組みを導入したいという考えを持っています。
    「転用した場合の評価額」から「農地の評価額」を引いた分の一部に課税する案を検討しています。
    具体的には、10アールの農地の場合、転用価格が1000万円、農地価格が300万円とすると、差し引き700万円の転用益と考える。
    国への納付額は、転用して得た利益の5割以下とする方針。
    (日本経済新聞 2017年6月3日付の記事より)

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